タワーマジックをやろう

このページでは、MTGの遊び方の一つであるタワーマジックの紹介および楽しく遊ぶためのカードの紹介を行います。

目次

作成日:2010/12/26
最終更新日:2011/11/27

1.タワーマジックとは

タワーマジックは、 自分の好きなカードの束を共有ライブラリーにしてプレイする非公式フォーマットです。
すべてのカードが土地として置けて、置いたカードに対応する色マナが出せます。
基本土地はデッキに入れず、すべて呪文にするのが一般的です。
以上がタワーマジックの概要になります。

詳細の部分は、非公式故に統一されていません。
ローカルルールとしてタワーの作成者の判断に委ねられます。
そういうあいまいさは良くもあり悪くもありますが、
面白く出来る余地を生むということで好意的に考えていいのではないでしょうか。
ルールについては2章で説明をします。

タワーマジックの面白いところは、プレイの選択肢が多く、即興性を問われるところです。
土地としてプレイするかクリーチャーとしてプレイするか、
強いカードはプレイできるまで手札に抱えるか、
という先のわからないことによるかけひきの面白さがあります。
また、カード同士の思いもよらないコンボやカードとの一期一会といった偶然を楽しむことができます。
タワーを作る人からすれば、どんなカードでも入れられますし、
構築戦のようにデッキを作るためのカードが揃ってなくても作れます。
思い通りの環境が作れるので、人それぞれの色を出すことができます。

個人的には、デッキを持っていない人とも遊べて、
プレイするごとに違った展開になるというところに面白みを感じています。

2.タワーマジックのルール

タワーマジックのルールを紹介していきます。

2.1.構築ルール

・基本的にはどんなカードでも可
・ライブラリーの枚数は制限なし
・土地を入れない(2色出せるような特殊土地を入れるケースもあり)
・ライブラリーをシャッフルする呪文は禁止(探す呪文も禁止)
・原則として同じカードは1枚(ハイランダー)

ルール的に怪しいものは入れない方がいいかと思います。
激突を行うカードとか。

2.2.進行ルール

・土地の生み出せるマナは置いたカードの色に対応する
 多色ならタップ時に色を選べるが、タップインとして扱うことが多い
・土地のタイプは単色カードは対応する色の基本土地タイプ(緑なら森)
 多色カードは特殊土地、基本土地タイプを持つかどうかは人によって異なる
 ※アーティファクトを土地としておいた場合は、アーティファクトのタイプを持つ
・元々土地のカードは本来の能力を持つ
・土地を何らかの手段で手札に戻して通常通り使うのは可
・土地が墓地に落ちたときは元々のカードとして扱う
・ライブラリーは共有(非共有の場合もあり)
・墓地は別個(共有の場合もあり)

書いてないのは通常ルール、作成者の判断、その場の流れで決まります。
初手の7枚を引く順番とか。
マリガンはできるけどシャッフルが面倒なのでしないと思います。

3.構築の方針

ルールは変わろうともMTGはMTGなので、マナカーブやカードアドバンテージの概念は外せません。
自分が好きなカードをタワーに投入するのが良いかと思いますが、
それだけでは組みづらいかもしれないので基本的な考え方を列挙していきます。

■枚数は気にしない
枚数が多いとシャッフルが大変ですが、
似たような展開が減り飽きにくくなります。
まずは自分で集めて好きに組んでみるといいです。
初めて作ったタワーは200枚近くいきました。

■タワー構築のコンセプト
タワーはカードプールが無制限のため、どれを入れていいか非常に迷います。
最初は好きに組んでみて、カードを出し入れしたほうが楽かと思います。
それでは飽きた人にいくつかの組み方を挙げます。
・カードプールをいくつかのエキスパンションに限定
・幾つかのキーワード能力に絞る
・色を減らす
・色事にサブテーマを設定
・選択肢のあるカードを多めに
・アーティファクトを大量投入
・マルチカラーを大量投入
・種族や職業を参照するカードを大量投入
・レアのみ
コンセプトがうまくはまったタワーは非常に面白いので、
構築に慣れてきたら思いついたコンセプトでタワーを組んでみることを薦めます。

■色拘束に注意
どれだけ魅力的なカードでも色拘束が強いと使ってもらえません。
《皮背のベイロス》は3マナ4/5と強力ですが、
トリプルシンボルでプレイのリスクが高すぎて毎回土地として置かれる事になり、
入れる意義がありません。
仮に単色だけのカードでタワーを組んだ場合、ダブルシンボルでもプレイされないケースは多いです。
ダブルシンボルのカードをプレイするには同じ色のカードを2枚土地にする必要があるからです。

多色のカードや土地を入れれば緩和されるのですが、
多色のカードが強力で土地として使わないほうが有効と判断されると解決になりません。
マナコストはダブルシンボルまでに抑え、
ダブルシンボルのカードはマナが整いやすい後半を見据え、
重めのコストで選定したほうがバランスはいいと思います。

■回避能力もそれなりに
回避能力を持ったクリーチャーを入れないと、
サイズだけの勝負になってしまいます。
そうなると引き勝負になり膠着しがちです。
相手と同じ土俵で戦うかを判断させる選択肢があったほうがいいと思います。

■コストのバランスを考える
決着の早いタワーにしたいか、遅いタワーにしたいかで入れるカードの比率が変わってきます。
早いタワーにしたいならマナコストの小さいクリーチャーの割合を増やし、
回避能力を持ったクリーチャーを優先させるといいと思います。
遅いタワーならマナコストを多いクリーチャーを増やし、
プレイすることでアドバンテージの取れる呪文を増やすといいです。

■マナコストの少ないクリーチャーにも活躍の場を
タワーマジックはすべてのカードを土地としてプレイできます。
そのため、マナを容易に伸ばすことができます。
サイズの大きなクリーチャーを召喚するのは造作もないことです。
そのためにサイズが小さいクリーチャーが土地にされるのはよくあることです。
そこで、1マナや2マナは終盤でも使ってもらえる能力を持っているクリーチャーも入れましょう。
具体的には、《目潰しの魔道士》や《夜の子》、《モグの狂信者》などが挙げられます。

■マナコストの多いクリーチャーは慎重に
マナコストの多いクリーチャー=サイズが大きい、です。
サイズが大きいクリーチャーが強いのは当たり前で、
土地を並べるのが容易なタワーマジックではデカブツゲーになりやすいです。
除去などで対処可能な範囲のサイズに抑える、ゲームの決着を早める、
マナコストの多いクリーチャーを抑えるといった対処をお勧めします。
タワーのバランスにもよりますが、6マナ4/4くらいが適正かと思います。
個人的にはデカブツのパワーを下げることで対処しています。

■大量ドローは危険
ドロースペルが強いのは当然ですが、タワーではさらに凶悪になります。
引いてくるカードに幅があるため相手はカードアドバンテージを取り戻しにくく、
勝ちにそのままつながることが多いです。
引いたカードを土地としても置けるため、汎用性が高くなりがちです。

■挽回のチャンス
負けそうな状況でもなんとかできると思わせれれば、モチベーションを保つことができます。
それが可能なカードを入れるのがもっとも有効です。
《神の怒り》や《砂の逆流》などがそれにあたります。

■どんなカードにも対応策を
強力なカードをタワーに入れると、それ一枚で勝つということは往々にしてあります。
でも、それではやっている人は面白くありません。
対処が難しい強力なカードなら抜いてしまうのもひとつの手ですが、
対処可能なカードを何枚か入れることでバランスをとるという手もあります。
例えば、装備品は破壊されにくく強力で使いまわせるので、
装備品を入れるならアーティファクト破壊は必須です。
デカブツを破壊できるカードもある程度入れたいです。

■タワーの調整
より遊べるタワーにしたいなら、作ったタワーのバランスを調整する必要が出てきます。
勘でカードの出し入れをするのもひとつの方法ですが、良策とは言えません。
毎回土地として置かれるカードや毎回呪文としてプレイされるカードを覚えておき、
抜くか別のカードに置き換えるのがいいと思います。
メモしておくのも大変でしょうから体感レベルにしておきましょう。

より緻密な調整としては、タワーのカード一覧の情報をEXCELで管理して、
マナカーブや同じ役割を持つカードの枚数を調整していきます。
引いたカードは土地にされるため比率を厳密に守る必要はありませんが、
極端なタワーは違和感が残ります。
比率の目安として、クリーチャー60%、除去15%を心がけています。

4.推奨カード

自分で使ってみたカードのうち、タワーが面白くなるカードを紹介します。

■変異を持つカード
変異をタワーに入れることは複数のメリットがあると考えています。
色マナに関係なく3マナ2/2のクリーチャーが出せるようになります。
不確定要素が増え、表向きにするかorさせるかといった駆け引きが増えます。
一定以上の枚数を入れることで、作ったタワーの定石を使いにくくします。
特にタワー作成者の優位を軽減します。

■土地を手札に戻すカード
序盤はプレイできないカードを土地として置き、終盤に手札に戻してプレイできたら面白いと思います。
神河の空民とか《雲石の工芸品》がそれに該当します。
ラヴニカのコモンの土地も喜ばれると思います。
ただし、《曇り鏡のメロク》や《交易路》は強すぎるので控えましょう。
《ブーメラン》でも可能ですが、よほどのことがない限りクリーチャーにプレイされます。

■ライブラリー操作をするカード
タワーではライブラリーが共有だからこそ、入れ替える順番を変える面白さが増えます。
相手にプレイできない色のカードや弱いをなすりつけたり、
自分が引きたいカードをセットしたりでき、
引きが偏るタワーでは弱いライブラリー操作カードでも意外な強さを発揮します。
《秘教の思索》や《水晶球》のような繰り返し使えるカードは強すぎるので禁止したほうが無難です。
占術や消術を持つカードはもちろん、《物知りフクロウ》などがいい働きをします。
《引き霊気》や《剣士団》のような変則的なカードもあります。

■マナコストの支払い方が複数あるカード
支払い方が複数あることで、プレイの仕方を柔軟にしようという考え方です。
引きの偏りによる不満も少し解消することができます。
キッカーが代表的ですが、待機や想起などもそうです。
プレイのための色マナとキッカーの色マナが違うと土地の置き方が悩ましくなっていいです。

■起動コストが8マナのクリーチャーカード
俗に言う発動者と呼ばれるクリーチャーです。
タワーでは序盤ではエンドカードは土地にされやすく、
終盤ではサイズの小さなクリーチャーは軽視されがちです。
発動者は小粒で早めに場に出すことができ、エンドカードになりえます。
マナがたまり次第決着に向かうことが分かるため、
だるいゲームになることを防ぎ、大量のマナを利用する方法も用意できます。


プレイングは難しくなりますが、《石の雨》や《破砕》のような土地破壊も面白いと思います。

プレイヤーが知らないカードや懐かしいカードを少し入れておくと、案外喜ばれます。

言語は可能であれば日本語にしましょう。
人に聞くとカードがバレてしまうので聞きづらいですし、
カードテキストの翻訳でゲームの展開が少し滞ります。

5.非推奨カード

意味がない、強すぎる、やる気がなくなる、といったカードを紹介します。

■ライブラリーを削るカード
ライブラリーアウトで勝つことはまずない上に、
ライブラリーをコストにすることのデメリットがほぼなくなります。
《弧炎撒き》や《石臼》のようなカードは不要です。
例外として、フラッシュバックや蘇生を持つカードが多ければ削るのはありだと思います。

■繰り返しライブラリー操作できるカード
対戦相手をかなりコントロールしやすくなり、ほぼ負けなくなります。
《秘教の思索》や《水晶球》は強すぎるので抜きましょう。

■繰り返しドローできるカード
《ジェイムデー秘本》や《精神の眼》のような楽な条件で何度もドローできるカードは有利になりすぎます。
繰り返しドローできるカードは《ジェイラム秘本》や《天使心の薬瓶》程度がいいと思います。

■マナを増やせるカード
タワーはマナの制約がきつく、それをうまくやりくりするのがタワーの面白さでもあると思うので、
マナを増やせるカードは制限したほうがいいのではないかと考えています。
特に、《ダークスティールの鋳塊》や《肥沃な大地》は色マナ不足を解消してしまう上にマナも増えるため、格差を生みます。
構築戦と違って早いターンにプレイされる重いカードに都合よく対処できるカードを引けるとは限らないので、
どうしようもない状況は極力減らしたいです。
《ウル=ゴーレムの目》や《パラジウムのマイア》も、土地にすれば1マナという原則を崩し、
理不尽に死にかねないのでやめておきたいところです。
その一方で、マナフィルターは枚数しだいで面白くなると思います。

■打ち消しカード
ただでさえマナの制約があるところにプレイしたカードを打ち消されても面白くありません。
ごく少数にとどめておくかコストを重くしてプレイしにくくするなどの工夫が必要でしょう。

■コストにXを含むカード
マナは簡単に伸ばせるので、あっさり止めを刺したり、アドバンテージを稼いだりできます。
これまでのゲーム展開を台無しにすることもあります。
《熱光線》のような1対1交換になるカードはいいでしょう。

■テキストが無駄に長いカード
古い英語版のカードは字が細かく長く分かりにくく、知らないと完全にゲームが止まります。
一言で言えば冗長。
テキストが長いカードを入れるメリットはあまりないです。
長い短いは別として、あるなら日本語版の使用を推奨。

自分が入れたいカードを入れて遊ぶのが楽しいというのもひとつの真理。
ただ、繰り返し遊ぼうと思うとどうしても基準を作って抜かざるを得ないカードが出てきます。


ひとりごと

時間があったらもうちょっと難しい話もしたいです。
より具体的な構築例とか挙げればいいのだろうか。
タワーをプレイする戦略と、戦略を踏まえた構築の話とかしたいなあ。



参考文献

MTG覚書

タワーマジック入門

モノーキブログカード館

タワーマジック@wiki





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